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東京地方裁判所 昭和49年(行ウ)125号 決定 1983年1月07日

原告 株式会社商大自動車教習所

右代表者代表取締役 谷岡剛

被告(被参加人) 中央労働委員会

右代表者会長 平田冨太郎

補助参加人 茅野広治

<ほか六名>

右補助参加人七名申立代理人弁護士 河村武信

主文

本件補助参加の申立をいずれも却下する。

理由

本件補助参加申立の理由は、要するに各補助参加人は、頭書事件において原告から取消を訴求されている被告の発した命令の主文及びこれにより維持された初審命令において、原告が一定額の金銭の支払を命じられている者であるというにある。そこで検討するに、頭書事件は不当労働行為救済命令再審査(一部棄却)取消請求事件であるが、補助参加人総評全国一般労組全自動車教習所労働組合(以下「参加人組合」という。)は大阪府地方労働委員会(以下「大阪地労委」という。)に対し、原告を被申立人として不当労働行為の救済命令の申立をなし、大阪地労委は右申立に対し救済命令を発したが、原告(昭和四七年(不再)第三〇号事件再審査申立人、同年(不再)第三一号事件再審査被申立人)及び参加人組合(昭和四七年(不再)第三〇号事件再審査被申立人、同年(不再)第三一号事件再審査申立人)はいずれもこれを不服として被告である中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対し再審査の申立をなし、これに対し中労委は原告の申立のうち一部を棄却する旨の命令を発し、原告は右命令の取消を求めて中労委を被告として頭書事件を提起したものである。このような取消請求訴訟の特質からして、頭書事件において民事訴訟法六四条にいう「訴訟ノ結果ニ付利害関係ヲ有スル第三者」とは、右命令が取消されることにつき直接の法律上の利害関係を有する者、すなわち救済命令の名宛人たる参加人組合に限られると解するのが相当であり、そうすると、補助参加人らはいずれも救済命令の名宛人でないことが明らかであるから、補助参加人らの申立はいずれも理由がないというべきである。このように解しても、救済命令の名宛人である参加人組合が補助参加しており、また、組合員個人が予め救済命令の申立人になっておくことによって取消訴訟に補助参加しうるのであるから、補助参加人らにことさらに不利益を強いるものでもないというべきである。

よって、本件補助参加の申立はいずれも理由がないので、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 渡邊昭 裁判官 山下満 鈴木浩美)

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